戦後日本文学史に一閃の光を灯し早世した芥川賞作家・柏原兵三（1933-1972）。映画『少年時代』（1990、篠田正浩監督）の原作者としても知られる、その人となりと文学性を、生前の彼と親しかった人たちが愛情深く語り明かした寄稿文集。
主な寄稿者は、江藤淳・小堀桂一郎・西尾幹二・高辻知義・小塩節・大江健三郎・加賀乙彦・後藤明生 ほか、文壇関係者のみならず家族や友人が綴ったエピソードも収録。

また、芥川賞受賞（'67年）当時の選考委員（三島由紀夫・川端康成・石川達三・大岡昇平・舟橋聖一・井上靖・石川淳・丹羽文雄・中村光夫・永井龍男・瀧井孝作）による、受賞作『徳山道助の帰郷』選評も完全収録。

柏原兵三のまさしく「人と文学」を知る上で数少ない資料であると同時に、この錚々たる執筆陣の、今や本書以外ではなかなか目にすることのできない往時の文章に触れられるという意味でも貴重な１冊。


※初版1973年2月刊行（POD版2001年3月刊行）
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