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グローバル社会における異文化コミュニケーション
―身近な「異」から考える

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グローバル社会における異文化コミュニケーション
―身近な「異」から考える

著者名
池田理知子 編著 / 塙幸枝 編著 / 青沼智 著 / 宮崎新 著 / 神戸直樹 著 / 石黒武人 著 / 鳥越千絵 著 / 師岡淳也 著 / 河合優子
判型
A5判/並製
ページ数
176ページ
ISBN
978-4-384-05937-3 C1030
初版年月日
2019/04/10
定価
2,200円 (本体 2,000円+税)
ジャンル
専門書・研究書 > その他 / 専門書・教育 > その他 / 比較文化

異文化コミュニケーションへの理解を段階的に深める

「グローバル社会」のなかでみすごされがちな「異」を通して異文化コミュニケーションの概念を学び、理解を深める入門書。

基礎的な概念の説明と、現象を批判的に分析する提言を盛り込んだ「基礎編」、その概念を応用してさまざまな現場の分析を行う「応用編」、時間軸と空間軸をさらに広げて考察する「発展編」の3部構成。

各章いずれも身近な「異」を導入とし、章末には考察を深めるための問いとディスカッションのヒントを提示。


-----「はじめに」より-----
 これまでとは違った視点でまわりを見わたすと、意外と身近なところに自分とは別の文化背景をもつ人たちがいるのに気づくはずです。自分と変わらない日常を送っていると思っていた隣人がそうではなかったと気づく、つまり自らの「あたりまえ」がそうではなかったと知ると、これまで平気で他者を傷つけていた自分がみえてくるかもしれません。あるいは、社会で通用している「あたりまえ」に傷つけられた自分を通して、その理不尽さがまかり通る社会をどう変えていけるのかを考えはじめるかもしれません。「異文化コミュニケーション」の学びは、「あたりまえ」を疑うところから始まるといっても過言ではないでしょう。
 本書では、グローバル社会のなかでこれまでみすごされてきた「異」を取りあげ、差異が生み出すさまざまな関係性がどういうものかを明らかにします。そこに生じる不均衡な力関係を維持していくのか、それとも変えていこうとするのか、コミュニケーションの〈想像/創造する力〉が試されているといえるでしょう。
-----

目次

第Ⅰ部 基礎編
第1章 他者との出あい:「異なる」という意味
1.〈国=文化〉という枠組み
2.さまざまな文化の違い
3.ステレオタイプな表象
4.日常のなかのカルチャーショック
5.他者との出あいとアイデンティティ
6.異文化コミュニケーションを学ぶ意義

第2章 「ふさわしさ」をめぐるコミュニケーション:読めない空気
1.コミュニケーションの意味
2.「ふさわしさ」の恣意性
3.暗黙の了解
4.協調性と排他性
5.高コンテクスト文化/低コンテクスト文化
6.「わかりあい」が隠蔽するもの

第3章 ことばというシンボル:メディア化する日常
1. 多義的なことば
2.ことばの道具性
3.始めにコミュニケーションありき
4.ことば・権力・支配
5.ネット時代のことば

第4章 ことばにできないメッセージ:沈黙の意味
1.沈黙のイメージ
2.多種多様な非言語コミュニケーション
3.非言語メッセージの意味解釈
4.「話さない」と「話せない」
5.言語/非言語の優劣関係
6.多様な解釈の可能性

第5章 グローバル化とメディア:情報化社会と私たち
1.世界を駆け巡る情報と生活のペース
2.ネット社会の不平等な関係性
3.個人情報のデータベース化
4.グローバル化と経済格差
5.メディアと私たちの意識
6.私たちと社会とのつながり

第Ⅱ部 応用編
第6章 コミュニケーションの〈想像/創造する力〉:記憶の継承
1.メモリアルデーがつくり出す記憶
2.「大きな物語」からこぼれる記憶
3.「他者」と出あう場としてのメディア
4.コミュニケーションの射程
5.自分のなかの「異」との出あい

第7章 英語という言語選択:外国語を学ぶ意味
1.英語を学ぶなかでの違和感
2.外国語は英語
3.英語“で”コミュニケーション
4.英語を学ぶわたし
5.「異文化実践」としての外国語学習

第8章 異文化交流の意味:期待にそえないメッセージ
1.ユニークな文化イメージの再生産
2.期待に応える「語り」
3.日本文化のイメージ
4.文化を語るための視点
5.文化を語る相手へのまなざし
6.文化の「仲介者」としての役割

第9章 多国籍チームにみる組織内コミュニケーション:差異とアイデンティティ
1.多国籍チームのなかの多様性
2.多様なメンバーのアイデンティティ
3.多様性に配慮したコミュニケーションの実践
4.相乗効果をもたらすコミュニケーション
5.差異から生まれるアイデンティティ

第Ⅲ部 発展編
第10章 スペクテーター・スポーツの異文化論:わかりやすい「日本人」の姿
1.スペクテーター・スポーツとグローバル化
2.敵役は「外国人」
3.助っ人選手の「日本人らしさ」
4.グローバル化と日本人選手
5.「よそ者」としてのプロアスリート

第11章 移民・難民問題から考える多文化社会:在ドイツ日本人移民のまなざし
1.多様化する社会と多文化主義
2.ドイツにおける多文化主義と「並行社会」
3.在ドイツ日本人移民の「異」へのまなざし
4.多文化社会のこれから
5.ドイツの例から学べること

第12章 異文化としての「スピーチ」:公の場で文化・政治を語ること
1.「プレゼン」と「スピーチ」を分けるもの
2.演説の死とスピーチの非政治化
3.文化を語る行為の政治性
4.「政治の主人」になる意義
5.演説の復活とプレゼンの(再)政治化

第13章 越境・架橋するプロセス:みえる/みえない境界線
1.みえる境界線
2.境界線が引かれるプロセス
3.みえない境界線を意識すること
4.境界線を問いなおす視点
5.越境と架橋

読者レビュー

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著者紹介

池田 理知子(イケダ リチコ)
福岡女学院大学教授
主著・論文:『日常から考えるコミュニケーション学―メディアを通して学ぶ』(2016, ナカニシヤ出版)/『時代を聞く―沖縄・水俣・四日市・新潟・福島』(2012, せりか書房, 共編著)/『よくわかる異文化コミュニケーション』(ミネルヴァ書房, 2010, 編著)
第1章・第5章・第6章・第8章・第10章担当
塙 幸枝(バン ユキエ)
神田外語大学専任講師
主著・論文:『障害者と笑い』(2018, 新曜社)/「超音波写真と胎児のイメージ―記録としての医学写真から記憶としての家族写真へ」(谷島寛太・松本健太郎編著『記憶と記録のメディア論』, 2017, ナカニシヤ出版)/「お笑いの視聴における『(多様な)読み』は可能なのか―スチュアート・ホールのエンコーディング/デコーディング理論から」(谷島寛太・松本健太郎編著『理論で読むメディア文化―「今」を理解するためのリテラシー』, 2016, 新曜社)
第2章・第4章担当
青沼 智(アオヌマ サトル)
国際基督教大学教授
主著・論文:『メディア・レトリック論―文化・政治・コミュニケーション』(2018, ナカニシヤ出版, 共編著)/ “Policy debate topic change controversies in the U.S. and Japan” (Argumentation & Advocacy, 54, 2018, 共著) / “Momotaro as proletarian: A study of revolutionary symbolism in Japan” (Communication and Critical/Cultural Studies, 11, 2014)
第3章・第8章・第10章・第12章担当
宮崎 新(ミヤザキ アラタ)
名城大学准教授
主著・論文:『グローバル社会のコミュニケーション学入門』(2019, ひつじ書房, 共編著)/ ”Facing with non-nativeness while teaching: Enacting voices of international teaching assistants of basic communication courses”(Basic Communication Course Annual, 25, 2013, 共著)/ ”Re-making cross-cultural representations: ’Foreign’ + ’Hollywood’ films = new learning opportunities”(International Journal of Arts & Sciences, 4(24), 2011, 共著)
第7章担当
神戸 直樹(カンベ ナオキ)
立教大学特任准教授
主著・論文:“Perspective by incongruity in Internet memes: The case of the 2015 Japanese hostage crisis” (R. A. Lake, ed., Recovering Argument, 2018, Routledge) / “Representing disaster with resignation and nostalgia: Japanese men’s responses to the 2011 earthquake” (S. MacGregor & N. Seymour, eds., Men and Nature: Hegemonic Masculinities and Environmental Change, RCC Perspectives 2017, no. 4, 2017, Rachel Carson Center) / “The logic of ‘jiko sekinin’ (self responsibility) and ‘proper’ citizenship in contemporary Japan” (T. Suzuki, T. Kato, & A. Kubota, Eds., Proceedings of the 3rd Tokyo Conference on Argumentation, 2008, Japan Debate Association)
第8章担当
石黒 武人(イシグロ タケト)
武蔵野大学准教授
主著・論文:「異文化コミュニケーションの教育・訓練」(石井敏・久米昭元・長谷川典子・桜木俊行・石黒武人『はじめて学ぶ異文化コミュニケーション―多文化共生と平和構築に向けて』, 2013, 有斐閣)/『多文化組織の日本人リーダー像―ライフストーリー・インタビューからのアプローチ』(2012, 春風社)/「多文化組織におけるコミュニケーションと日本人リーダー」(多文化関係学会編『多文化社会日本の課題―多文化関係学からのアプローチ』, 2011, 明石書店)
第9章担当
鳥越 千絵(トリゴエ チエ)
西南学院大学准教授
主著・論文:「『外国人』『移民』『外国人労働者』―日本における移民ディスコースが構築する人種の階層」(『西南学院大学英語英文学論集』59(3), 2019)/ “’We get bad looks, all the time’: Ideologies and identities in the discourses of interracial romantic couples”(K. Sorrells & S. Sekimoto, eds., Globalizing Intercultural Communication:A Reader, 2015, Sage, 共著)/「ポストコロニアル的視点から語られるアイデンティティー―質的異文化コミュニケーション研究の動向」(『西南学院大学英語英文学論集』53(3), 2013)
第11章担当
師岡 淳也(モロオカ ジュンヤ)
立教大学准教授
主著・論文:戦後日本におけるコミュニケーション学の歴史への新たな視座―1960-70年代のスピーチ・コミュニケーション科目の分析を中心として」(『ことば・文化・コミュニケーション』10, 2018)/ “A history of rhetorical studies and practices in modern Japan” (P. Simonson & D. W. Park, eds., The International History of Communication Study, 2015, Routledge) /「意思決定とコミュニケーション―議論による合意の形成と不合意の創出」(鈴木健人・鈴木 健・塚原康博編著『問題解決のコミュニケーション』, 2012, 白桃書房)
第12章担当
河合 優子(カワイ ユウコ)
立教大学教授
主著・論文:“Learning critical multicultural empathy through ethnic minorities’ media self-representation in Japan” (J. Erni, ed., Visuality, Emotions, and Minority Culture, 2017, Springer) /『交錯する多文化社会―異文化コミュニケーションを捉え直す』(2016, ナカニシヤ出版, 編著)/ “Deracialised race, obscured racism: Japaneseness, Western and Japanese concepts of race, and modalities of racism,” (Japanese Studies 35(1), 2015)
第13章担当