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アメリカ文学との邂逅
トマス・ピンチョン
帝国、戦争、システム、そして選びに与れぬ者の生

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アメリカ文学との邂逅
トマス・ピンチョン
帝国、戦争、システム、そして選びに与れぬ者の生

著者名
永野良博 著 / 諏訪部浩一 監修
判型
四六判/上製
ページ数
272ページ
ISBN
978-4-384-05942-7 C3098
初版年月日
2019/07/25
定価
2,750円 (本体 2,500円+税)
ジャンル
専門書・研究書
シリーズ
アメリカ文学との邂逅

ピンチョンが描き出す越境的彷徨の軌跡

『V.』『メイスン&ディクスン』『重力の虹』『ブリーディング・エッジ』等ピンチョンの長編、中編作品のなかで扱われる、越境的な想像力が描き出す近代化と現代の様相を読み解く。また、主流派から排除された選びに与れぬ者たちの系譜とシステムに抗う生について論じる。

巻末には、簡明な説明を付した、豊富な文献リストを掲載。

(装幀 宗利淳一)

目次

序章
ピンチョン作品の軌跡に見る本書の主題
批評理論上の枠組みと研究手法
トマス・ピンチョン伝記
第1章有機性の喪失とスペクター――『V.』における拡大する生命なき世界
街路での彷徨、有機性の喪失、ショック体験
有機体への暴力と破壊、歴史的時間の分裂、スペクター
怪異な地下世界への下降、有機性への渇望とその破壊
語りの時間と地理における分裂、植民地のスペクター的都市、相互的自己喪失
有機性を支配すること——ヴィースーと絶滅の夢
植民地マルタにおける再生の試み、機械の解体

第2章国家像を揺さぶる「望まれざる外国人」――『競売ナンバー49の叫び』が示す脅威
トリステロ——移民法、望まれざる外国人、崩される国家像
トリステロ——相続権の喪失、非合法集団、望ましき移民との区別
望まれざる外国人に対する空想——虚空を生み出すこと
国家像におけるトリステロ的なもの——街路での彷徨、社会的矛盾
革命の脅威、監視、そして疑念
望まれざる外国人へのエディパの脅威、そして自ら異質な者(alien)になること

第3章異国での祖国の記憶――『重力の虹』における選びに与れぬ者の系譜
国家の起源と系譜——タイローン・スロスロップのアメリカ
選びに与れぬ者の系譜と本源主義の魅惑
ロケット、神話、マンダラ

第4章異人種間の魅惑と反発――『メイスン&ディクスン』に見る植民地的欲望
ケープタウンにおける植民地的欲望の矛盾
女性奴隷への欲望、ロマンスと人間の商品化
アメリカの荒野と植民地的欲望、同性愛、捕囚物語の変容

第5章哀悼可能な生と哀悼不可能な生――『逆光』、無政府主義、戦争
被支配者による暴力——哀悼可能な生と哀悼不可能な生
抑圧者の暴力——非人間の哀悼不可能性
哀悼不可能な生——第一次世界大戦を中心に
黙示的ヴィジョンを受けて

第6章帰れない故郷――『ヴァインランド』『LAヴァイス』『ブリーディング・エッジ』
『ヴァインランド』——権利強奪、神話的土地、データ・システム
『LAヴァイス』における追い立てられた人々、失われた土地、空想された国家像
『ブリーディング・エッジ』——社会正義、ディープアーチャー、ニューヨークの街路への帰還

あとがき
資料
年譜
キーワード集
主要文献リスト
索引

読者レビュー

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著者紹介

永野 良博(ナガノ ヨシヒロ)
神奈川県出身。ニューヨーク州立大学バッファロー校大学院博士課程修了(Ph.D.)。アメリカ文学専攻。上智大学短期大学部英語科教授。 代表論文は、本書にもその改訂日本語版を収めた “Remembering Home in Foreign Lands: Thomas Pynchon's Gravity’s Rainbow.” Critique: Studies in Contemporary Fiction.58.1 (2017) を初めとし、以下のものがある。“Inside the Dream of the Warfare State: Mass and Massive Fantasies in Don DeLillo’s Underworld.” Critique: Studies in Contemporary Fiction. 51.3 (2010), “The Formation of the Rocket-Nation: Abstract Systems in Gravity’s Rainbow.” Pynchon Notes. 52-53 (2003).

諏訪部 浩一(スワベ コウイチ)