「日本の読者のみなさまへ」と題された翻訳版のための書き下ろしを収録。詩・短篇小説・戯曲・評論の4部から構成、巻末に解説と年譜をつけ、日本ではあまり紹介されていないブラウンの魅力を作品と異なる視点で解説…

訳出不可能な一篇を除いた、事実上初の全訳詩集です。「一たび出会えば、以後メーリケなしでは生きるすべを知らない｣とH.ヘッセが評した詩人の珠玉の作品が、その全貌を明らかにします。巻末の詳細な訳注もまた資…

永遠のセックスシンボルとしてのマリリン・モンローことノーマ・ジーンは、男の幻想と欲望に自らの生を略奪され、押しつぶされたいわばメディアの犠牲者だった。このような、彼女の生き方、いや生かされ方、殺され方…

ジャーナリスト志望のカーティアは、ある女性の死亡記事に目を止めた。その死亡したテロリストは、かつての自分のベビーシッター、イェッテであった。この思いがけない対面を機に、彼女は永遠に追いつけない世代の差…

主人公Kは、パリの名だたる広告代理店の共同経営者であり、クリエイティブ部門のヘッドも努めている。社会的にも成功し、個人的にも申し分ない幸福を手に入れるかにみえるKは、ある朝偶然に、セックス関連のコンピ…

内容あるもの、モラル、政治的メッセージなどをことごとく「ダサイ」と決めつけ、ファッショナブルな外見にこだわり、限りない遊戯に耽るポストモダン的時代を生きる若者たち。彼らが今日、意外にもドイツ的過去の亡…

「青春」という名の神話。琥珀に閉じこめられたような「時間」。絶えず繰りかえされるロックの断片…。小さな炭坑町という閉じこめられた空間を舞台に、否応なくすり減ってゆく人々を描く「語り」の世界。青春時代を…

二十世紀末の大都会、コミュニケーションの断絶、増幅される不安…。子育てに疲れたシングルマザー。カフェで見かけた女性にエナメルのコートを送り続ける倒錯者。しかし、次の瞬間には自分自身が「倒錯者」になって…

第二次世界大戦の勃発から第三帝国の崩壊に至る時代の中で、たまたま政権の周縁にいたため、否応なく時代の奔流に巻き込まれる二人の主人公の視点から交互に描かれるドイツの「過去」。この物語の語り手は、ナチスの…

18世紀後半、原作者主宰の「ドイツのメルクール」誌に発表されたこの小説は、古代ギリシアの「アブデラの人びと」の偏狭かつ俗悪な小市民根性を揶揄することにより、暗に当時のドイツ市民を風刺する内容であったた…